「チェロ盗難事件」は、無事に解決いたしました。

「船に乗れ!」特設ページをご覧の皆様へ。

藤谷治です。このたびは私のチェロ盗難につきまして、本当に多くの皆さんからお言葉をいただき、深く感謝しております。
五月十三日に、警察より連絡があり、チェロは無事に戻って参りました。犯人は確保され、楽器の状態もよく、望みうる最高の形で取り戻すことができました。
盗難は三月二十七日の午前中のことで、その後の警察の捜査によれば、持ち出した人物はその日のうちに古物商へチェロを売りに出してしまったようです。この古物商もまた被害者です。なぜなら持ち出した人物は正規の身分証明書を提出していて、疑う余地がなかったからです。その後、楽器は丁寧に扱われ、商品としてネットオークションに出されました。そのために保存状態がよかったのです。発見後、警察はただちに楽器を回収してくださり、のちにその古物商の方ともお会いしましたが、大変気持ちよくお話しすることができました。
しかしながらこの時点では犯人の発見には至っておらず、チェロも証拠品として警察に留め置かれておりましたので、公表することはできませんでした。このかんご心配くださった皆様には、深くお詫び申し上げます。
その後犯人は捕まりましたが、精神的に問題のある可能性もあるらしく、捜査は現在も続いているようです。

すでにご存知の方もおられると思いますが、盗難当日、私は店の施錠を怠りました。そのためにこのような、取り返しのつかないことになってしまいました。小説『船に乗れ!』は、物語は創作しましたが、主人公の設定はほぼ私自身の高校生時代のままであり、あの小説に出てくるチェロが、盗難にあったチェロなのです。私にとっては、あの小説の本当の主人公といっていいチェロです。
それを私の不手際から盗まれてしまい、茫然自失すると同時に、ひたすら自分を責めました。自責の念は、チェロが戻った今でも残っています。これまで、我が愛器を大事でないと思っていたわけではありませんが、失われてみると、こんなにも自分にとって大切なものであったかと、改めて痛感しました。事情はどうあれ人のものを持ち去ればそれは犯罪です。法によって処罰されます。しかし私個人としては、犯行者よりも私自身の怠惰のほうが、罪は重かったのではないかと思っています。少なくともチェロに対してはそうだと思います。

今回の盗難では、とても多くの方々に、ご迷惑とご心配をおかけしてしまいました。ブログで呼びかけてくださったり、報道してくださったり、ネットオークションを注視してくださった方々もいらっしゃいます。また、自分を責め続けている私に、励ましのお言葉をくださった方も少なくありません。この特設ページで皆様に呼びかけてくださった、ジャイブ、ポプラ社の皆様にも、たんに『船に乗れ!』に関わる問題であるという以上の、心にしみるご尽力をいただきました。そのすべての方々に、あつくあつく、お礼申し上げます。皆様のお一人が欠けても、このような解決には至らなかったと思います。

戻ってきたチェロは、この二か月間、ただ保管されていただけでしたので、弦もゆるみ、駒もずれていました。私はそれをゆっくりと直しました。それからおずおずと弾いてみました。二か月のあいだに指はすっかり衰えていました。楽器もなかなかうまく鳴りませんでした。
(僕がぞんざいに扱っていたから、お前、腹を立てて、逃げ出したのかもしれないなあ)
私は心の中でチェロにいいました。
(悪かったなあ。もうこんな目には、二度とあわさないからな。ごめんよ)
失われた二か月を、これから時間をかけて、取り戻したいと思います。
ありがとうございました。

五月十四日

藤谷 治


冲方丁さんの吉川英治文学新人賞受賞作『天地明察』(角川書店)、紀伊國屋書店スタッフの選ぶキノベスの第1位となった川上未映子さんの『ヘヴン』(講談社)、TBS系でドラマ化されている東野圭吾さんの『新参者』(講談社)、村上春樹さんの大ベストセラー『1Q84』(新潮社)など、まさに2009年を代表する小説が勢ぞろいした感のある「2010年本屋大賞」ノミネート作10作品。
4月20日に二次投票の結果が発表され、『天地明察』が大賞に輝きました。『船に乗れ!』は残念ながら第7位となりましたが、応援してくださった全国の書店員の皆さん、どうもありがとうございました!





「お腹の奥のほうからじわりとこみあげてくる『苦しさ』はあった。けれど、そこには、それを圧倒する『青春』と呼ばれる時代のきらめきと、甘やかな刹那があった」
――西加奈子(『アスタ』2009年8月号より)

T 合奏と協奏』



「いまもっとも良質な青春小説といっていい」
――北上次郎(『本の雑誌』2009年8月号より)


U 独奏』



「クラシックの知識がなくても、まったく苦にならない。美しいものは切なくて、ひたむきな思いほど、哀しいのだと気づかされる」
――大崎梢(『朝日新聞』2009年9月6日朝刊より)


V 合奏協奏曲』 




各本体1600円+税
 
『船に乗れ!』シリーズの完結を記念して、ポプラ社のPR誌「asta*」(2010年1月号)に掲載された特別インタビューが、こちらからご覧になれます。
『船に乗れ! U』のWEB連載開始時に「ポプラビーチ」に掲載された特別インタビューが、こちらからご覧になれます。
青春音楽小説アンソロジー
Heartハート Beatビート
芦原すなお
伊藤たかみ
小路幸也
楡井亜木子
花村萬月
藤谷治

四六判上製
本体1500円+税
『船に乗れ!』のスピンオフ短編「再会」収録。27年後の津島サトルと伊藤慧のエピソードが描かれています。

『下北沢 さまよう僕たちの街』
ピュアフル文庫
本体540円+税
津島サトルのその後!?――下北沢で書店を営む著者自身をモデルとする主人公・勇の、下北沢での出会いと別れを描いた、爽快で痛快で痛切なラブストーリーです。
12月10日(木)、著者の藤谷治さんと批評家の仲俣暁生さんによるトークセッション「演奏と読書〜現代小説読者論」は、大盛況のうちに開催されました。


全国の書店員から、多数のメッセージが寄せられました!

2009年度の本屋大賞はこれで決まりだ! たぶん。
(神奈川県書店員)

輝かしいばかりでない季節のみずみずしさと痛み。こういう小説をずっと待っていました。
近年出会った青春小説の中で、最も心を揺さぶられました。

(丸善丸の内本店 高頭佐和子)

私、正直、感動しちゃったよっ!! こんなに美しい音楽を見せてくれてありがとう! 次々
と溢れてくる、楽しげで美しくて、その時その場所でだけのただひとつの音楽に感動しま
した。

(三省堂書店京都駅店 中澤めぐみ)

青春、友人、そして音楽。この物語が永遠に続けばいいと強く願う。けれど続かないから
こそ、物語は美しいのだなあ。青春小説オールタイムベスト決定!

(啓文堂書店京王多摩センター店 西ヶ谷由佳)

予想外の展開に驚いた。それでも音楽に全身全霊を捧げている時の高校生達はすばらしか
った。

(有隣堂川崎BE店 大嶋慶子)

「ブランデンブルグ協奏曲」を聴くたびに、あの場面を思い出すでしょう。
(東山堂三ツ割店 横矢浩司)

自分の口からもれたのが、感嘆の声なのか、青春のやるせなさゆえのため息なのかわから
ないほどに面白かった。

(成田本店とわだ店 櫻井美怜)

そこらへんの軽い青春小説とはレベルが違います。もちろんダントツ!!
(丸三書店 海田良二)

ただの青春小説じゃない!! さまざまな愛と、哲学が詰まった傑作です。
(ブックエキスプレス ディラ上野店 小川真澄)

青春の歓喜も苦悩も全てが、ひとつの音楽となって全身に響き渡り、圧倒的な余韻を味わ
えました!

(三省堂書店成城店 内田剛)

この本を読みながら、私は確かに音楽に包まれていました。胸の奥から熱くなる感動の最
終章。

(丸善お茶の水店 横田陽子)

この三部作に出逢えてほんとうによかった! 高校生の自分にも読ませてあげたいです。
(明正堂アトレ上野店 成沢亮)

圧倒的なこの物語の面白さを前にして、この本をいかに多くの人に読んでもらうか。今は
そのことばかりを売り場で考え続けています。

(金高堂土佐山田店 生駒聖)

言葉が音楽を奏でる奇跡の瞬間をあなたに贈ります!
(精文館書店中島新町店 久田かおり)

待望の完結巻! 素晴らしい合奏協奏曲が奏でられますように!

(芳林堂書店津田沼店 飯田和之)

今年読んだ青春小説ではトップクラスの面白さ! 音楽のことが分からなくても楽しめる。
素晴らしい作品です。

(三省堂書店大宮店 杉山学)

とてもとても苦い青春。でも音楽はいつでも美しく、共に演奏できる仲間がいてくれる。
いろいろな感情を押し込めて、美しい音を奏でようとする彼らのひたむきな姿にじんとな
ります。まとめ読みをオススメします!!

(恵文社バンビオ店 大瀧彩子)

青春小説の枠の中では収まりきらない深みのある素晴らしい小説。
(良文堂松戸店 高坂浩一)

ドラマ化希望!! 心の底に後悔や惑いを抱えながら、前に進む高校生たちのストレートな生
き方に、拍手を贈り続けたい作品です!!

(ブックファーストみなとみらい店 篠原真紀)

この船に、乗り遅れてはイケないっ!!
(ブックポート203栗平店 浅井康雄)

読みながら、頭の中でモーツァルトの「ジュピター」が鳴り響いていた! こんな読書体験
は初めてだ!

(啓文社コア福山西店 三島政幸)

こんなに素晴らしい小説のフィナーレには、なかなか出会えないと思います。
(有隣堂ルミネ横浜店 佐伯敦子)

1人でも多くの人に読んでほしい。だってこんなにも素晴らしい!
(京都府書店員)

音楽って良いものですね。青春って良いものですね。1つのことに夢中になっていたあの頃
に戻れる最高の青春音楽小説です!

(有隣堂藤沢店 菅野貴子)

青春とは苦悩の連続なんだよ!! でも音楽の持てる“力”というものを信じさせてくれた!!
う〜ん、唸るしかないです。

(有隣堂恵比寿店 二見太二)

※ 順不同、敬称略
戻る
サイトはInternet Explorer5.5以上、Firefox 2.0以上でご覧ください。
(C)Copyright 2009 JIVE Ltd. All rights reserved. サイト内の画像・文章等の無断転載を禁じます。